【事件の概要】
○○家は、その地方では、中規模農家、1,000坪の宅地と、10,000坪の農地を所有している。
キノコ採りに出かけた80歳の父が、1日経っても帰らず、捜索願をだして探したところ、付近の山で、スズメバチの大群に遭遇して、刺されショック死しているところを発見された。
葬式、初七日の法要は、無事済んだが、49日の法要の通知を出したところ、女姉妹が、出席しないとの返事が帰ってきた。
驚いているところに、見知らぬ弁護士から1通の通知が届いた。
相続財産の件で、姉妹の代理人に選任されたこと。近々家裁の呼び出しがあること。
受け取った長男は、ショックを通り越し怒りが湧いてきた。
母からの話で、長女には、結婚の支度金として200万円、次女は、大学進学のため学費の援助400万円、三女は新築祝いに300万円を出しているとのこと。
この姉妹は、折に触れてそれ以外にも父から援助を受けていたことがわかった。
どうやら首謀者は、次女であること。次女は結婚を契機に長男と折り合いが悪くなり、実家には長男のいないときに出入りしていた事実がある。
長男からそれぞれに姉妹に話し合いの提案をしたが、弁護士に依頼しているとの一点張り、結局、家裁の調停となった。
長男は、武田の以前からの顧客であったため、善後策の相談を受ける。すでに、行政書士の範疇ではないため、知り合いの弁護士を紹介した。
調停の経過と結末。
相続財産の確定にあたり、10,000坪の農地の取扱について、長男が3年前に生前贈与を受けていたが、これも相続財産の前渡しにあたると、判断され宅地と農地合わせて、3,200万円の価値と評価された。
法定相続により、母が1,600万円分、子どもがそれぞれ400万円づつとなった。
しかし、現金はない。結局姉妹に配分するために、3,000坪の田んぼを売買することになった。
そこは、田んぼでも優良地であるが、市街地の県道沿いで、宅地化できる土地である。
売り急がなければ、3,000万円の値打ちの土地であった。今回は、農家に売買したため、半値となってしまった。
この決着をみるまで、1年半を要した。和解金の他に200万円の弁護士費用が発生した。
長男にとっては生活の糧となる農地が3分の1ほど減り、自分の貯金から弁護士費用を出した。
この相続は、長男にとって財産もなくし、親族の縁もなくした。
残ったのは、姉妹への怨恨だけだった。
【事件の概要】
夫は、再婚の際、前婚のときに子どもがいることは、話さず結婚した。40年の婚姻生活で、実子は生まれなかった。
連れ子との間に、養子縁組の話もあったが、放蕩娘で、家に寄りつかず現在も行方不明のため、縁組みできなかった。
夫は86歳の時、突然、脳梗塞でたおれ10日後に永眠。
そのときの財産は、預貯金で1,000万円。
夫名義ではあるが、この金は、夫婦の老後の資金として、妻が生活費をやりくりして、ためたものである。
妻は、当然自分の財産になるものと考えていた。
しかし、金融機関に預貯金の解約手続ため、夫の戸籍を提出したところ先妻との間の子が、相続人になるが判明した。
まったく面識がなく、生きているのか、死んでいるのか、住所すらわからず困り果てているところで、金融機関の担当者から武田を紹介される。
武田は、妻の親族も含め、対策を協議した。
(親族を含めたのは、妻の今後の生活を、誰がみるのかを確認し、その親族の同意の上、相手方と手続を進めたかったからである。)
武田は、裁判を想定した場合、妻2分の1、子2分の1が、争わないで交渉ができると提案。妻は不満があるものの、相続の早期解決を図るため、それで先妻の子と交渉することにある。
武田が、調査により住所が判明、手紙により父が死亡したこと。相続人になったこと。その相続分500万円であること。手続に協力して欲しいこと。を伝える。
相手方も、精神病をわずらい、交渉相手は、その親族となった。
その親族は、突然のことに驚いていたが、いままでの生活費のたしになるとすぐに協議は成立した。
協議のとおり、500万円を相手方口座に送金した。
相手方の相続人も、窓口となった親族も、1度も会ったことなく、
顔も見たことがない。
この間、手紙でのやり取り3回、電話3回で通話時間15分だった。
相手方は、俗に言う「笑う相続人」だった。
今後お互いに、会うこともないし、また会う必要もないだろう。
ハッキリしていることは、妻が、長い年月かけて貯めた1,000万円のうち500万円が、一瞬にして口座から消えたことである。
【事件の概要】
相続人の長男は、今から10年前に武田のもとに、相続の件で、相談に訪れた。聞いてみると、20年以上前から、音信不通の弟がいる。
もし、父が死んだときは、その弟の存在がどうなるのか、教えて欲しいとのこと。
1番目として、弟の代わりに相続財産管理人の選任をして、弟の財産を確保する方法。
2番目として、失踪宣告して、7年後に死亡したとみなしてもらうこと。
いずれも、手続が面倒で、やっかいなので、死後処理するのは、得策でないと伝えた。
そこで、生前にできる手続として、贈与する方法と、遺言する方法を説明した。
贈与は、今すぐに長男の財産にすることできる。ただし、贈与税はまぬがれない。
遺言は、遺留分の問題は残るが、弟が請求しない限り、長男の単独指名で、
死後すぐに効力が発生する。
それに、税金は相続税の範疇になり、基礎控除は5,000万円プラス相続人1人あたり1,000万円加算され長男のケースは7,000万円まで0円だと言うこと。
計算したところ、贈与税が、200万円発生しそうなので、遺言の道を選択した。
(※この基礎控除は、平成26年12月31日まです。現在は基礎控除3,000万円プラス相続人1人あたり600万円となります。)
武田のアドバイスで、自筆証書遺言でなく、公正証書遺言を選択した。
そして、父が亡くなり、その遺言書で全財産の相続人に指名された長男は、
難なく金融機関の口座を解約することができ、土地の名義変更もすぐに完了した。
面倒な、相続財産管理人の選任も、失踪宣告もまったく関係ない。
そして、なんと言っても全財産、スムーズに手に入った事件である。
【事件の概要】
20年前に、農家の長男の嫁に入った○子は、2人の子宝に恵まれ何不自由なく暮らしていた。
ところが、10年前に夫が、がんを発病、2年間の闘病生活後、他界した。
なんとか、生活を切り詰め、子どもを成人させたが、自分も子どもも、嫁ぎ先での、財産が保証されていない。
土地と建物は、依然として義父名義である。義父には、死んだ長男と、他家に嫁いだ長女がいる。長男の小学生時代に先妻を亡くし、その後、後妻と再婚した。
後妻との間には、子どもがいない。
義父は、長男の直系である孫に財産を相続させると、話してくれていた。
ところが、2年前に、義父は老人ホームに入った。
このことを契機として、後妻が、義父の土地建物の権利証や通帳を隠したり、親族が頻繁に出入りして、画策し始めた。
嫁は、不安になり、武田に相談にきた。
「なんとか、土地建物を、自分の子にする手はないのか?」
武田は、「贈与」と「遺言」の2つの方法を説明したところ、贈与は、税金が、80万円近くなるため断念。
「遺言」を選択して、義父を説得し、公正証書遺言を作った。
最近、義父が死亡したが、遺言書のお陰で、嫁の子が無事、土地と建物を相続できた。
【事件の概要】
B氏の父は、遺言書で「全財産をB氏に相続させる。」と残し亡くなった。
その遺言書をもとに、すべて相続したはずだった。
共有地は、個人資産に含まれないため、役所の個人データからは判明せず登記が漏れてしまったものである。
その共有地を登記するため、遺言書を探したが、見つからない。
遺言書の役目は終わったと安心して、どこかに仕舞い込んだか、処分してしまったのかもしれない。
仕方なく、相続の書類を新たに作成するため、武田のもとを訪ねてきた。
いきさつを聞いた武田は、即座にこう言った。「遺言書、ありますよ。」
B氏の遺言書は、公正証書遺言であった。
公正証書遺言は、国の役人である公証人が、遺言者に代わって作成する。
同じものを3通作成して、2通は遺言者に渡され、1通は公証人の金庫に、
80年間保管される。
だから、武田は「遺言書、ありますよ。」と言ったのである。
B氏は、このことを知らなかったらしく、キツネにつままれた顔をしていた。
後日、武田は公証人の金庫からその遺言書を手に入れた。
B氏にその遺言書を渡すと、B氏は、父の遺言書に向かって頭を下げた。
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