産業廃棄物を埋立てやすくするために、燃やしたり(焼却)、砕いたり(破砕)、無害化したり(中和)といった、最終処分の前処理をする施設と、最終処分場3種類を含めて、「産業廃棄物処理施設」と呼んでいます。
産業廃棄物処分業者だけではなく、排出事業者自らが、設置する場合もあります。
排出事業者自らが設置する、「産業廃棄物処理施設」のことを、「自社処理施設」と呼ぶこともあります。
廃棄物処理法上の「産業廃棄物処理施設」とは、廃棄物処理法第15条で定める、下表の施設になります。
下記の20種類の「産業廃棄物処理施設」にあてはまる施設は、都道府県知事又は政令市長から「設置許可」を得る必要があります。
廃棄物処理法において、廃棄物とは不要物であり、かつ他人に有償で売却できないものをいいます。
そのため、買取でなく無償で引き取る行為はたとえリサイクル目的としても廃棄物処理業の許可が必要となります。
なお、買取りしてリサイクルする場合は、廃棄物処理法の対象にはなりませんが、古物商の許可が必要となります。
あくまでも一つの例として掲載します。詳細な点は、ケースバイケースです。
第1段階
まず、設置予定場所の都道府県、政令市の場合は市の産業廃棄物対策課へ事前相談に行きます。
そうすると、他法令(農地法、建築基準法、都市計画法等)担当課及び設置予定市町村にも相談するよう言われます。工場の敷地内に、「産業廃棄物処理施設」を設置する場合は問題が少ないのですが、工業地域以外で設置しようとすると、「農地法」や「建築基準法」及び「都市計画法」その他法令上の問題が生じてきますので、「廃棄物処理法」上の協議と同時に、それらの法律の問題を解決していく必要があります。
第2段階 (ここが最も重要です)
次に、福島県では、「産業廃棄物処理施設」の設置に関して、「産業廃棄物処理指導要綱」にもとづき「事業計画書」の提出をもとめられます。
この計画書の段階で、設置許可の9割が終わったと言っても過言ではありません。というのは、この後に行う事前協議申請、設置許可申請と、ほぼ同様な書類が求められるからです。
そして、「事業計画」の段階で、これも工業地域以外の場合ですが、「周辺住民の同意書の取得」や、周辺住民への事業計画の説明」などを求められる場合が多いです。
日頃から、周辺住民と良好な関係を結んでいれば、問題視されることも少ないのですが、「中間処理業を始めたい」とか、「自社敷地外で自社処理をしたい」といった場合には、「産業廃棄物」という言葉に対して抱く、一般的な「汚い」「危ない」といったイメージがありますので、紛糾する場合も多々あります。
技術的な問題ではなく、感情的な問題なので、一度対処を間違えると、修復が大変難しくなる場合がほとんどです。くれぐれも注意して、対処するようにしてください。
第3段階
ここまで来て、ようやく「産業廃棄物処理施設」の設置許可申請ができます。設置許可申請書類自体は、第1段階で説明したとおり事業計画とほぼ同様なので問題ありません。
ここで問題なのが、同時提出しなければならない、生活環境影響調査実施書という「公害(騒音、振動、悪臭、水質汚濁、大気汚染等)の基準値を超えない」証明書・疎明書の提出を求められます。
これには、専門の業者に依頼して測定したり、客観的な検証データを設置施設の類似のデータとして提出する等明確な根拠を提示しなければなりません。
これには、お金と時間がかかりますので、早めに準備する必要があります。ただし、設置後の「使用前検査」が必ずありますので、この時は絶対ミスをしないよう、もう一度作業の順番や内容の点検を怠らないようにしてください。
そうしないと、今までの苦労が水の泡になってしまいます。
まず最初に、これは「産業廃棄物処分業」にも共通する内容なんですが、絶対に許可してもらえない条件について、ご説明します。
「産業廃棄物処理業」で絶対に許可してもらえない条件
申請した関係者の中に
1.暴力団員又は暴力団員を辞めてから5年を経過していない人がいる時役所は必ず、各都道府県の警察本部に、関係者全員について「暴力団員」かどうかの意見照会をします。
2.法人で、暴力団員がその事業活動を支配するものこれも1と同じ理由で、絶対に不許可となります。
3.成年被後見人、被保佐人又は破産者で復権を得ない人がいる時「成年被後見人」と「被保佐人」については、申請書に「登記事項証明書」を付けなければなりません。「破産者」については、役所から、それぞれの人の本籍地がある市町村に対し、「破産者」に該当するかどうかを照会します。
4.禁錮、懲役、死刑に処せられ、その執行を終わってから、又は執行を受けることがなくなってから、5年を経過しない人がいる時(「罰金」の場合は、OKです)3と同様、本籍地のある市町村に、該当の有無について照会しますので、心当たりがある場合は、許可申請を諦めてください。
5.下記の一定の法律違反により、罰金に処せられ、その執行を終わってから、又は執行を受けることがなくなってから、5年を経過しない人がいる時(「罰金」もアウトになる場合です)「廃棄物処理法」「浄化槽法」「大気汚染防止法」「騒音規制法」「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」「水質汚濁防止法」「悪臭防止法」「振動規制法」「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律」「ダイオキシン類対策特別措置法」「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」「暴力行為等処罰ニ関スル法律」刑法 傷害罪(第204条)傷害助勢罪(第206条)暴行罪(第208条)凶器準備集合・結集罪(第208条ノ3)脅迫罪(第222条)第247条(背任罪)
6.「廃棄物処理法」又は「浄化槽法」に違反したため、許可を取り消されてから5年を経過していない人がいる時(法人の場合は、取消しの処分に関する行政手続法上の通知(聴聞手続)の日より、60日前以内に、その法人の役員等であった人がいて、その取消しの日から5年を経過していない時)一例を示すと、「廃棄物処理法」違反で、過去5年の間に「産業廃棄物処理業」の取消しを受けたことがないことです。
7.過去に許可を受けていたが、「廃棄物処理法」又は「浄化槽法」 の許可の取り消し処分の通知を受けてから、取消し処分を受けるまでの間に、「廃業届(正確には廃止届)」を提出し、それから5年を経過していない人がいる時行政処分を受けなくてもすむよう、自主的に「廃業届」を出し、処分を受けなかったように装う、脱法的な行為を防止するための規定です。
次は、許可を得るのに絶対に必要な条件です。
「産業廃棄物収集運搬業」の申請に絶対に必要な条件
1.「産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会」の受講修了証の添付必ず許可申請日までに、産業廃棄物収集運搬課程(新規)を受講し、最後のテストで合格点を取って、修了証の交付を受けることが必要です。受講すべき人は、法人の場合は、代表者、業務を行う役員、事業場の代表者のうちの一人個人の場合は、申請者本人又は事業場の代表者講習会の日程・申込方法は、財団法人日本産業廃棄物処理振興センターのHPに記載されています。
※1 特別管理産業廃棄物収集運搬課程(新規)の受講修了証でもOKです。
※2 既に、どこかの自治体で「産業廃棄物収集運搬業」の許可を取っている場合は、その許可証の写しを添付すれば、「産業廃棄物収集運搬課程(更新)」の受講修了証で、新規許可申請ができます。
2.収集運搬器材の用意申請までに、車輌や運搬容器を準備しておくことが必要です。写真の添付しなければなりませんので、絶対に必要です。
3.事業を継続的に行える経理的基礎があること産業廃棄物の処理を受託した者が、それを適切に処理しないまま廃業したりすると、未処理の産業廃棄物がいつまでも残ることになります。それでは、環境保全上問題があるので、許可をする段階で、申請者が途中で資金繰りの悪化で廃業したりしないかどうかを審査しています。具体的には、「納税証明書」、「貸借対照表」、「損益計算書」などの添付が義務付けられており、債務超過がひどい場合には、「不許可」となることもあります。
4.事業計画が適切かどうか「事業を継続的に行える体制にあるかどうか」「受託した産業廃棄物の持ち込み先があるかどうか」「収集運搬を受託する能力があるかどうか」などが問題となります。
以上の、7つの欠格要件と、4つの許可要件の全てに問題が無ければ、あとは書類さえ揃えれば、晴れて「産業廃棄物収集運搬業」の許可を得ることができます。
講習会には、排出事業者向けと処理業者向け(新規・更新)の3つがあります。
産業廃棄物収集運搬業をされる方は処理業者向けの講習会を修了し、
新規許可申請の場合は、新規許可講習会の修了証を添付する必要があり、
更新許可申請時には、更新許可講習会又は新規許可講習会のいずれかの修了証の写しを添付することが必要です。
処理業者向け講習会にもいくつかの区分がありますが、収集運搬業のみをされる方が受ける講習会は次の課程です。
産業廃棄物の収集・運搬課程(新規・更新)特別管理産業廃棄物の収集・運搬課程(新規・更新)もし、すでに「産業廃棄物の収集・運搬課程」を修了されている場合でも、特別産業廃棄物を収集運搬するときは、新たに「特別管理産業廃棄物の収集・運搬課程」を修了しなければなりません。
講習会修了証の有効期限については、新規許可講習会の修了証については5年、更新許可講習会の修了証については2年となっています。(行政庁により更新についても5年の場合があるので、行政庁に確認してください)申し込み方法や受講料については、日本産業廃棄物処理振興センターのホームページを参照してください。
産業廃棄物収集運搬業の許可の要件として、下記の方が講習会を修了していることが必要です。
申請者が法人の場合
代表者もしくは産業廃棄物の処理に関する業務を行う役員又は業を行おうとする区域に存する事業場の代表者。
申請者が個人の場合
当該者又は業を行おうとする区域に存する事業場の代表者。
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