私たち夫婦はどちらかが先に亡くなっても、全ての財産を他方に譲ることにしておりますが、連名で遺言書を書くことはできますか?

できません。いわゆる共同遺言ですが、民法は「遺言は、二人以上の者が同一証書でこれをすることができない」と規定しており、有効な遺言と認めず禁止しています。

相続人に知的障害者がいます。遺産分割協議をするにはどうしたらよいのですか?

成年後見の申し立てを家庭裁判所に行います。障害者の方の判断能力の程度によって後見、保佐、補助の3つ類型があります。
判断能力が全くない場合は、後見の類型にあたり、後見開始と成年の後見人選任の審判をしてもらい、成年後見人を代理人として遺産分割協議を行います。
共同相続人のひとりが成年後見人になるときは利害が対立するので、家庭裁判所に利害関係のない後見監督人を選任してもらい、その後見監督人と遺産分割協議をすることになります。

まず、公正証書遺言はどのように作成するのでしょうか?

遺言者(遺言する人)が、証人2人を伴って公証役場に行き、公証人の前で遺言の趣旨を伝えます。
公証人はそれを筆記し、遺言者と証人に読み聞かせます。
筆記の正確なことを確認した遺言者と証人はそれぞれ署名押印し、最後に公証人が署名押印します。
もっとも多くの場合、事前に遺言者側が公証人に遺言の内容を伝え、公証人はそれに沿う形で公正証書を作成し、遺言者と証人2人は面会日時に公証役場に行き、本人確認と読み聞かせを受け、署名押印して終わりという手順をとります。
なお、口がきけない人や耳が聞こえない人でも手話通訳者を伴えば公証役場で公正証書遺言を作成できます。

なぜ、公正証書遺言は安全確実なのですか?

公証人という法曹資格を持つ特別な国家公務員が証書の作成者として関与し、その上2人の証人が一部始終を見守っています。ですから遺言の内容が遺言者本人の意思から出たという点では、まず疑問の余地がありません。
自筆証書遺言との大きな違いです。また公正証書遺言の場合、遺言者は謄本(つまりコピー)を2部もらうことができ、証書原本は公証役場内に数十年にわたり保管されます。
ですから自筆証書のような破棄・紛失や、相続開始後もその存在が知られないということがまずありません。

証人の2人は、どんな人でも良いのでしょうか?

未成年者や、推定相続人・受遺者とその配偶者・直系血族、そして公証人の配偶者・親族などは証人になることができません。

簡単に言えば、遺言者や公証人に全く関係ない成人を選びます。

もちろん依頼を受ければ、行政書士も証人になることができます。

例えば仲の良いお友達や、町内会長さんを証人にしても良いのですが、あまりお薦めしません。

一般の方は行政書士のような秘密を守る義務が無いので、何かのはずみで証人になったことや遺言の内容を漏らしてしまう危険性があります。

公正証書遺言作成の費用は、どのくらいでしょうか?

私が面識ある公証役場では、遺言の目的の財産価額が1千万円までの場合3万円、3千万円までは3万6千円です。
作成される場合は事前に確認されたほうが良いでしょう。
なお遺言者が体が不自由な場合、追加料金を払えば公証人が出張してくれる制度もあります。

他にも公正証書遺言の利点はありますか?

自筆証書遺言の場合、発見者や保管者が相続人(またはその代理人)とともに、相続開始後遅滞なく家庭裁判所に行き、その自筆証書遺言について「検認」という手続きをとることが必要です。

これを経ないと内容を実行に移すことは出来ません。しかも遺言者の最後の住所地を管轄する裁判所で「検認」を行ないますので、例えば北海道に居る相続人が九州や沖縄に行かなければならない可能性もあります。

公正証書遺言の場合「検認」は必要なく、相続開始後すぐに内容を実行に移すことができます。
こうした点からも公正証書遺言はたいへん便利です。

なお安全・確実な公正証書遺言と言っても決して万能ではありません。
遺言者が公正証書遺言を作成していても、内容によっては大きな争いになってしまう可能性もあります。

また、「遺留分」の問題については自筆証書遺言も公正証書遺言も同じであるということを覚えておいてください。

成人にならないと、遺言は書けないのでしょうか?

満15歳になれば、遺言をすることができます。

自筆証書遺言は、パソコン・ワープロを使用して書けますか?

自筆証書遺言は、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。パソコン等の使用は、遺言者の真意を判定できないので無効とされています。(民法第968条)パソコン等の使用は、秘密証書遺言のときは可能です。

自筆証書遺言は、封筒に入れて封印しなければいけませんか。

必ずしも封印する必要はありません。但し、封印のある遺言書は、遺言者が亡くなった時、家庭裁判所に提出して相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができません。これを検認手続きといいます。管轄裁判所は、遺言者の最後の住所地です。因みに、家庭裁判所外において開封した者は、過料に処せられます。(民法第1004及び1005条)

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